詩人:どるとる
腕に巻いた時計は 深夜零時を回ろうとしている
吐き出した ため息まで白く染まる
夜は冷えるようで さらけ出した手がさっきから寒がってる
見上げた空に 浮かべた大好きな人の顔
上手くイメージできずに ぼやけた
浮かんでは消える遠くの街明かり
たまには歩いて帰ろうかな
川を挟んだ向こう電車が 通り過ぎる
手を振ってもまさか見えないね
悲しみには 免疫はないようで
何度でも風邪みたいに 心は泣く
いくつもの窓に灯る明かりの向こう
そこには幸せが あるのでしょう
目をそらすことさえできないのは
何より僕がそれを求めているから
さっきの出来事をそっと思い出す
疲れはてた人達が夢を見ている
電車の窓には 何が映っていたかな
僕には暮らしが 映っているように見えた
悲しみは 凭れかかるように 僕らの
暮らしに いつの間にか 干渉する
それにいちいち小言など言ってみたところで 意味は殆どない
見上げた空に 浮かべた大好きな人の顔
上手くイメージできずに ぼやけた
浮かんでは消える遠くの街明かり
たまには歩いて帰ろうかな
誰にも 見せたくない 涙を背負ってしまったから。