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[191779] 舞い上がる言葉

詩人:どるとる


思い出し笑いの理由を 思い出していた
小説にしたら きっとすぐにベストセラー

そんな 劇的な毎日を生きてはいない
ため息の数だけなら世界一だ

誰かが空に放った 風船は
綿毛のように 飛んでいく宛もなく

空に刻まれた足跡をたどるように
導かれるまま 何度も明日に 舞い戻る

ひらり 風に踊るシャツの裾
羽のように 空に飛びたがっている

今にも笑いだしそうな 泣きだしそうな
どっち付かずの表情で

日々書き足されていく日常描写
吐き出したとたん 空に舞い上がる言葉

まばたきひとつで不思議だな その度変わって見える 世界の全景

ありふれた風景も 視点を変えればあら不思議
雨降りも晴れ渡る

握りしめた鉛筆で 何を書こうか
物語の続きが世界の終りを目指して走る

見上げた空を 切り裂く白い翼のセスナ
鳥のように 自由に羽ばたいていく

くるり 時計が回って また振り出し
地球の反対側では朝と夜が逆さま

今にも 笑いだしそうな 泣き出しそうな表情で

日々書き足されていく日常描写
吐き出したとたん 空に舞い上がる言葉

手のひらに 落ちた花びらの一枚に
息を吹きかけ 飛ばす
あんなに遠く もう見えない

この世界にあるすべては
似て非なる 羽を持っている

空に飛ぼうとしたときにだけ羽は開く

だから 吐き出したとたん 舞い上がる言葉。

2016/05/26 (Thu)
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