詩人:どるとる
いつもの帰り道 歩道橋にさしかかり
ほら 夕日が沈むところだよ
赤い夕日に照らされた街並みが見えた
なぜか僕は 泣きたくなってしまうよ
優しい オレンジ色が心さえ染めるから
あの空と同じ色になった僕の心が泣き出す
いつでも会いたいと思う人がこの街にいる
そんな気持ちを 落とさぬように 歩いていく
人が人を思うような ありふれた気持ちにやどる
あたたかなお風呂のような安らぎ
この街は誰かを待っている顔で笑うから
僕まで 笑顔になってしまう
夜が来る前に 喧嘩したこと謝らなきゃ
また昨日のように 君と笑いあいたい
翼を休めていた鳥が羽ばたいていく 巣に帰るのかな
僕も家に帰りたくなってしまう
離ればなれでも 互いを思う気持ちで 結ばれている
寂しくなったときは君を思い出すんだ
笑った顔が まぶたの裏にぼんやりと浮かぶよ
ただいまを言う準備は整っている
この街はまるで 誰かを待っているみたい
ドアを開けていつものように
ただいまって笑うあなたや
おかえりって迎えるあなたを
結んでる 見えない絆がある
そこに生まれる気持ちを人は幸せと 呼ぶのだろう
いつでも会いたいと思う人がこの街にいる
そんな気持ちを 落とさぬように 歩いていく
人が人を思うような ありふれた気持ちにやどる
あたたかなお風呂のような安らぎ
肩まで浸かって 吐き出す感嘆のため息
白い湯気になって 天井に上って消えた
「僕は幸せ者だ」