詩人:千波 一也
さかずきが、まわる ひとづてに咲く ゆめまぼろし を 裂いては遠のく かなしげな、 さめゆびさきに乗る花びらが、よるわからぬままの方角はなおうつくしく影を研ぎ ふれる、かぜ かおる、 とき かりそめの陽に 華やいで いたみ、 まどろみ、 かんむりは、つゆ、 いつの波にも 牙、こぼれ 声は向かういさぎよき、かなたのためだけにおぼえておけない微笑みで