詩人:木菟
「皆 敵だよ」
「はい、確かにそうでした。」
僕は感心したんだ、
深く深く深く
死んで
殺した
バトンタッチされただけみたいなものだろうか供えるもの何もない許されない
想うこともない
許されない
知られることも
許されない
想うこともなにもかも許されない
もうわからない
許されない想うこともなにもかもない
そして
ほんとうになにもないんだって
また
じん、と
じゅわりと
真っ赤な水分をたっぷり含んだ心を確かめて僕の終わりの日まで
僕はてくてくと歩くし世界の終わりまで
今の歴史をお人形さんが高速で速記しながらその頃どこかで誰かがお気に入りのイカした音楽かけながらハイウェイで飛ばしてる
黄緑色したブランコは正しく揺れている
工場裏では汚れた手袋水道で洗ってパンパンってはたいて干している
毎日帰り際に日課みたいに機械への愛がふと過って喫煙所ではしわくちゃのおじさんとケラケラどうでもいい事で笑っている
少しの沈黙に僕は彼は家に帰ったらどんな夕食を食べているのだろうとか奥さんとの会話とか思いがけずやっぱり想像してしまう
具沢山の温かい汁物と真っ白なご飯それだけ想像して酷く泣きたい気持ちになったりしてる次には高い段差に躓かないように気をつけて廊下にでる
体には良くない鉛臭い場所を抜け出し
僕臭い車に乗り走らせて窓を開けて草の匂いを吸い込む
ローラースケート履いて街を切り取っていって見ていたって哀しくなりそうだ
君がたまらない、なんていった
どうってことない、だろなんて僕は言いたくはないのだけど
簡単に言えてしまうから出来れば君の希望に添う無言だっていいし似合わない場所、なんてことはないよ関係なしに吸い込みたい吸い込んでしまおうよ、草花の匂いも埃ぽい匂いも雨の匂いも土の匂いも。君の涙の匂いとか嗅いでもいいかな、本気でするんだけどそんな嫌なするからさせっかくの可愛い顔がさ 笑ってよ