詩人:アル
もののふの強みたるは
明鏡を身の内に蔵し
己を映し自省して
更に他を難づるに非ず
凪たる湖面の水
止まりて
澄み渡るに似たれども
一旦事あらば
鬼神も是を恐れ
避くる気迫もて
事に臨みては
沙汰を尽して
諦念を知己とせず
信念を友として
私利私欲の垢を
拭ひ去り
孤高なる名月の
真理の光に
照らさるるとも
胸張り面上げ
三千世界に恥づる所
一毛も是無く
事果てにし暁は
後悔の俘虜
残心の捕囚に
身をやつす事なく
行く末遥かに
思ひを致して
日々是新たなる潔さを
羅さながらに
着流したる
粋なる軽みにあれば
拘泥は
洗ひ流すに如かず
となむ
もののふの
往く道先に
陰ひとつ
月に照らされ
追ひつ追はれつ