詩人:謳器
恐る恐るその一歩を
踏み出してみる
それは深い谷底を覗き込むような
それは真夏の太陽を直視し続けるような
何かと引き換えに手にすべきもの
先を見たくなくて
夢の中で暮らしていた日々には別れを告げよう
後悔するのなら
このまま今が崩れていくだけなら
何かを捨ててでも
その手には力がある
恐怖と引き換えに
がむしゃらに前だけを見つめていられる
必死な、子供じみた
それでも確実な
魔法のような力
誰もが持っている
それは生命に直結した
原始的な力
疑ってる?
信じてくれた?
そんなんじゃない
理屈じゃない
そんな感情どうでもいい
ただあふれ出る
押さえきれない
そんな当たり前の
誰もが持っている原始的な力
ここに生まれたということ
ここで生きて行くということ
そのままでいいの?
本当は解ってるんだよね?
見えないけれど存在している
真昼の月のような
そんな力。