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詩人:ケイナ
「あんた、誰」
振り返ると
そこには
僕が居た
「僕は」
「名前を聞いているんじゃない
誰か、と聞いている」
僕は黙りこくった
そんな、いきなり言われたって
「知らないよ」
「知らないのに、ここにいるのか
知らないで、生きてるのか」
「ああ、そうだけど
あんたには関係ないでしょ」
「いや、関係ある
ってか俺しか関係無いんだよ」
そう言って、僕に背を向ける
そいつには翼があった
一対の、黒い鳥の翼
僕が一番欲しい物を
そいつは持っていた
「いいな、それ
僕も欲しいよ、翼」
「欲しいんなら、やるよ
でも御前にこれをやったら
俺は自由になれる
そしてあんた
死ぬよ
よく考えるんだな」
黒い翼を広げ
そいつは飛んでいった