|
詩人:高級スプーンあと何年
柔軟剤の臭いがキツ過ぎて
脱ぎ捨てたくなったアウター
好きな漫画家の新連載が
思ったとおりに鬱屈していて
余計に死ぬのが怖くなった
昼過ぎに
行きつけの美容室で
髪を短く切ってもらったと言う彼女
真夜中
笑顔で僕に飛びついてきたから
すべてがどうでもよくなった
それでも
若さは失われるし
フローラルな香りはそのままに
完結するまで作者は生きていたい筈だ
読者だってそう
とは限らないが
それはまた別の話
期待できない結末を迎えても
彼女の笑顔だけは絶やさないで
幸せになりたい