詩人:くじら
湖のほとり 湖面に映る
自分の姿 ぼやけた表情
涙混じりの空 疲れた昨日
笑ってる? 僕は
冬を背負った木々に
溜まった雫が
水面に輪をつくる
波が揺れ 僕も揺れた
空っぽの夢を
重そうに背負ったフリ
笑えない理由
本当は笑っているつもりだけど
表情はどこかぎこちない
手に持ったカバンの中に
行き場を無くした不安を
詰め込んで
果てのない空と
あてのない僕と
交互に見比べながら
風が吹くのを待った
混ざり合えば変わるかな
見つけられそうな明日に
見透かされていた今日が
立ち止まって振り返り
繋がった昨日のせいにする
意味なんてあるの?
僕は立ち上がり
石ころを蹴飛ばした
さっきよりも大きな波紋が
さっきよりも身近な明日を
笑い飛ばすように揺らした
何もしなくても時間は進むのに
明日までたどり着くのが精一杯で
責任の重さの分だけ
足跡が深くなったって
おぼつかない足どりでも
前に進まなきゃいけなくて
下り坂でも僕は歯を食いしばる
風に身を任せればいいのに
難しかったことが
出来るようになったけど
簡単だったことが
難しく思える 今の自分
不器用な心が情けなく震えた
空は淋しく色を変え
僕の心を濡らす
また降りだした雨は
湖面に映った景色に溶けた
「意味を与えるのは自分」
雨の音に紛れて聞こえた
その囁く声は
心に深く染み込んで
渇いてしまった僕の心を
静かに潤してゆく
「生きる意味」
それを探し続けるのが
人生なのかもしれない
答えの書いてない空を見上げ
僕は大きく息を吸った