詩人:朱雀
逃げ水 恋水 こほり水胸に刃(やいば)を突き立てて赤い血潮を ざんざと流し寄瓮(るべ)に零れた深情け今宵の月は殊更 真白(ましろ)ただ水底に さ揺らいで憂(うい)にまみれた この手ではまた懊悩(おうのう)を掬(きく)すまで ・・・逃げ水 恋水 貰い水刃(やいば)の先に花が散り赤丹の秀(ほ)にも紛う面(おもて)を彼(か)の様 綺麗と言ひてむや