詩人:夕空
月が生まれた夜
空は晴れていなかった
だから
空には月は
なかった、居なかった
朝
夜が覚め
そこに月はいなかった
次の日の夜
月は輝かなかった
だから
月は生まれても居ない
ただ闇に照らされた
海原だけが
微かに感じていた
それでも空には月はいない
それから幾年か過ぎ
ある日
ふと
何者かが
空を見上げた
そこにはもう月はなく
ただの夜空だけが
ひっそりと笑っていた
月は何処にも居なかった
ただ時折思うのです
この空に
ひっそりと咲く
暖かな日差しが
あれば
なんて美しいだろうって
2008/08/02 (Sat)