詩人:どるとる
二人の時間を刻んでいたはずの時計は
いつからか僕のためだけに時を刻んでた
砂時計が落ちるように硝子の向こうで
今を生きる誰かの時間が失われていく
永遠より長い キスも
あっという間に終わる
一分一秒も 待ってくれない時計は意地悪さ
短い永遠だけど やれることをしよう
押し寄せる波がひいていくまで 世界はここにある
昔話を語ろう 昔々の悲しみや喜びを
目には見えない苦しみや 痛みの全てを
雨は アスファルトにしみていく
乾いた地面に 花が咲くのならいいな
つないだまま離さない手を
いつか 時が無理矢理離させるなら
僕はあなたと生きた時間を思い出と呼びたい
なくすものなどなにもない あなたは生きているから
僕の中で 物語は続いていく その先の道をひらくように
こぼれ落ちた 時を手のひらで受け止めて
風に 流そう 誰かがいつか 思い出してくれるかな
名前も知らない 誰かの 歩いた道を
重ねた 時間や つないだ手のぬくもり
涙流し 笑顔浮かべたこと
永遠より長い キスも
あっという間に終わる
一分一秒も 待ってくれない時計は意地悪さ
短い永遠だけど やれることをしよう
押し寄せる波がひいていくまで 世界はここにある
なくすばかりだと思っていたけれど
思い出があるかぎり なくすものなど何ひとつないのです。