詩人:どるとる
帰り道を急ぐ人の中 遠回りをするのは
少しでも家に帰るのを遅らせたいから
一人ぼっちに気づきたくないと
寂しさから目を反らしているんだよ
夕暮れの街 半分だけの太陽 今沈む
歩道橋から 眺めた 泣き出しそうな瞳で
優しい誰かを思い出しながら
幸せな思い出で悲しい記憶をごまかす
でも気づいたよ
悲しみの中にも 輝く大切なもの
そうさ忘れていい思い出なんかない
ギターで奏でた下手くそなメロディ
それよりはずっとマシなチャイムの音
何も奪われてはいない でも何も手に入れてもいない
増えてく思い出は 数に入れないのかな
夜が来て 明かりの灯る道に 溢れる切なさ
ただいま おかえり 言い交わす言葉
昔は走るくらい早く家に帰っていたのに
いつの間にか 家は僕から遠ざかる
でも気づいたよ
僕から家を遠ざけていたんだと
心が最後に帰るのは生まれ育った家
世界にただひとつの生まれ育った家
愛してるとか 好きだよとか
言葉で伝える気持ちも大切だ
でも大切なのは 言葉にしない愛もあることで
歩道橋から 眺めた 泣き出しそうな瞳で
優しい誰かを思い出しながら
幸せな思い出で悲しい記憶をごまかす
でも気づいたよ
悲しみの中にも 輝く大切なもの
そうさ忘れていい思い出なんかない
そうさ捨てていい思い出なんかない。