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[192241] クジラの歌

詩人:どるとる


深い海の中で 息を押し殺しながら
夜明けを待ってる 光を蓄えながら

遠くの街では 名前も知らない誰かが
今日でその生涯を閉じたのです

すれ違うように生まれる新しい命の産声が こだまする朝

笑うような 泣くような クジラの鳴き声が 歌うように響くと

海は 凪いで 風は波をたてる 言葉にならない愛を描いて

骨組みを つくるように土台を形成して
幾つも連なるDNAの記憶をつないでいく

誰かが 残した思い出は花のように
いつまでも心にその香りを 留めるんだ

かなわなかった願いも 流れ星に乗せて空に届いたよ

雨に降られ日差しに焼かれ どんな季節も一緒に歩いた

手を結んで 唇を重ねて 編み上げる日々
出来映えはどうだい?

音符でいうなら シャープだろうか
ちょっとしたアクセントを人生に
付け加える 大事な音になるよ

笑うような 泣くような クジラの鳴き声が 歌うように響くと

海は 凪いで 風は波をたてる 言葉にならない愛を描いて。

2016/07/26 (Tue)
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