詩人:千波 一也
剣、と
よぶのを避けたくて
声はひとつの
武装と知った
ちいさな胸を
軋ませてゆく重みが
町だとするならば
すべての指が
ともされる
祈りのなかを風は、
振り返らずに
問うように
循環してゆく葬列の
ときどきを
揺れ
再び、は無いだろう
ゆるされたくて
途切れるような
ときのちぎりを
磨きわたるまで
あるいは、
けして誤らぬままで
細くなる
ひと
その目の奥に
家路はなつかしく
きらびやかな禁断を
のがれるはずの夕刻に
ときが聴こえる
飾りが占めた
吐息をとくように、
わずか
ずつ
散り散りの
ゆくえを知らず
敢えて、
知らずに