詩人:どるとる
夕暮れの道に長く伸びた影が
手をつないで ひとつになる
泣いて笑って きりもなく喧嘩してはすぐに仲直り
いつものように誰かと交わす言葉
夕暮れに包まれた街に
ただよう夕飯の匂い
この街の中だけでもただいまとおかえり
どれだけ 交わされるだろう
ふと気になってしまったんだ
歩道橋の途中で ぽつんと一人で
振り返る瞳の奥で静かに沈む夕日
コンビニ袋ぶら下げて帰る
出来合いのお惣菜と冷凍のご飯
公園でいつまでも駄々をこねる男の子
幼い頃の自分の姿を重ねてしまった
僕をおんぶしてくれたママのぬくもり
あの日と同じ夕暮れが今日も
僕の住む街の空を染めている
変わってしまったのは僕のほうかもね
街は相変わらず 優しい顔をしている
変わらないものなんてないかもしれない
だけどこの街は懐かしいものばかりだ
いつでも帰って来いと言ってるみたいに
そして大人になってずるくもなり
でもどこかぬけてたりもする
多分そんな 小さなことが僕が僕だというあかし
明日も 今日と同じ夕日を 見れるかな
どんなに悲しい日でも あの夕日だけは
変わらない色をしてる
夕暮れに包まれた街に
ただよう夕飯の匂い
この街の中だけでもただいまとおかえり
どれだけ 交わされるだろう
ふと気になってしまったんだ
歩道橋の途中で ぽつんと一人で
振り返る瞳の奥で静かに沈む夕日
すれ違う親子
ママの背中におんぶされてすやすや眠る子供
これ以上ない愛を僕は見た気がする。