詩人:さみだれ
私は地球の手になって
粒子のひとつひとつを摘む
それは量子論にない
質量ゼロの物質なので
いつの間にか得ているけれど
いつの間にか消えちゃってる
今日、夕日のまわりに漂っていたのに
夜にはもう見えなくなった
とても勝手気ままなものなので
私にもよくはわからない
私は地球の身になって
それを感じようと試みた
恍惚も慟哭も同じように
質量ゼロの物質なので
少し触れた気がしただけ
なのにずっとここにあるような
不可思議な安心感を
私の心に置いていく
とても勝手気ままなものなので
そのまま置いてきぼりにして
私の手の届かない
うんと遠くへ去っていく
君の背を眺める星
こんなにも小さかったのか