詩人:どるとる
あれからどれくらいの年月が経ったろう
うまくは思い出せないくらい時は流れた
春はもう何度も巡っているはずなのに
どんなふうに歩いたのかも思い出せない
君は 春の終わりになるととても悲しそうな顔をした
もう春は終わりなんだねと 舞いながら散る花びらにそっと涙を流した
ノイズの走る 古ぼけた映画みたいに
記憶を巡らし 君を思い出の中に探すよ
笑った顔もある 泣いた顔もある
そのすべてが例外なく思い出ならば
消えない痛みを 抱えたままで歩く
明日も何度も新しい春に芽吹く蕾
まぶたを閉じて そっとよみがえる午後の
陽射しの差し込む部屋で寝転んだ
離ればなれの二つの手を 結んだ
運命は信じない でも不思議な出会い
遠い距離をつなぐ 小さな携帯電話
くだんない話をして 時間も忘れて
翌月の携帯料金に驚いた
ピントのずれた カメラで写真を撮った日がいつか思い出になるのを知ってたかい?
雨が降る日も晴れた日もある
いつだって変わらない気持ちだったよ
引かれた線の上をなぞるような恋
軸がずれないように そんなんばかり考えてた
桜は今年も 例年より早く咲くらしい
でも僕には悲しみが 早まるだけだ
あまりに失ったものが大きすぎるから
今年は桜は 見たくないと目を反らした
ノイズの走る 古ぼけた映画みたいに
記憶を巡らし 君を思い出の中に探すよ
笑った顔もある 泣いた顔もある
そのすべてが例外なく思い出ならば
消えない痛みを 抱えたままで歩く
明日も何度も新しい春に芽吹く蕾
醜くてもいい
どんな 花が咲くかな。