詩人:どるとる
少しのことで泣き声上げる この心は弱くて
誰かが側にいないとすぐに 泣き出してしまう
がらがらの電車の中、窓に映る月
闇がすっぽりと世界を覆って
何も見えない
降りだしたとたんにすぐ止んだ雨が
濡らした 肩に雨粒が人懐っこく ついてる
あなたがあなたであるという
ただそれだけのことが
どれだけ僕には大切なのだろう
あなたを知らない人からすれば
あなたが いなくなっても悲しむこともない
それでもあなたをよく知る
僕には誰かには「それだけ」のことが
深い 深い悲しみになる
ちょこんと座る 葉っぱの上に 一匹のかたつむり
おまえはいいなと 勝手な憧れを 突きつけて
悲しみの居場所さえこの街にはない
涙は邪魔だと 邪険にされるだろう
優しい色をしている
悲しみを見つめて 愛しいと思えたら
たまには 抱きしめてください
あなたが あなたを否定したら
あなたはあなた以外の何ですか?
あなたは あなたから一歩も逃げられない
何しろあなたはあなたでしかない
あなたはあなただからこそ素晴らしい
誰かの優しさに気づくとき 悲しみの存在に気づくだろう
優しさと悲しみは家族のようなものだ
つま弾きにすべきではない
悲しみはそっと
孤独に 生きる
優しさの影に
隠れて 雨上がりの虹のように
悲しみという種から芽が出て
優しさになっただけ 。