詩人:千波 一也
ひなになれない
わたしは
せめてもの抵抗として
日々を生まれ続け
翼はとうに
ぼろぼろ
飛べたためしなど無い
それなのに頑として
語り継ぐことを
断ち切らない
きれいなものを間違えて
間違えることから
あらたに覚えて
目も耳も
どんなに不純物だらけでも
真っ直ぐに立つための
二本の足は失わず
立とうとするのか
成りゆきなのか
わからないことも含めて
ここに在るのが
わたしだ
執拗(しつよう)に
厭(いと)うことはせず
馴れあうこともせず
よごれものは
よごれものなりに
手立てのわかりやすさを
続いてゆける
はずだろう
抱えきれない荷があるときや
かろやか過ぎる涙や笑みに
つぶやく言葉を
鳥の名に
わたしはまだ
幸福の途中
素顔を呼んで
素直に
呼んで
わたしは
わたしとして
あらわれる、ただ