詩人:千波 一也
雨のなかに
すむさかなを
優しいひとくちでは
描けない
まだ
飲み干したはずの
模様がいつまでも海、で
花びらに
ふるえる風の光と影
それはもう
はるかに見失うような
幼さで満ちてゆく
かかとの下の
肩とよく似た土の匂い
やすみやすみでも
飛行の気配は
滞りなく
まあるい星の境界線に
ふれる隙間を
乾かさない
綺麗になりたかった日は
知らずにすまされない
ただひとつの源
それぞれに
発つべき時刻をさまよいながら
なすすべもなく
泳ぎつかれて
寝そべって
気がつけば
わかりやすい色合いで
横切る雲から
青空が
照る
こぼれ、つながる線路には
無限列車がふさわしい
だれかの窓に、指先に
輪がながれたら
夏のおと
わすれることを
わすれた頃に