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[192614] マフラー

詩人:どるとる


雪が二人の隙間に そっと降りてきて
二つの足跡 白い道に上手く刻んでく

言葉なんて二人の間には 要らなくて
手のひらから伝わるぬくもりが
代わりにすべてを 語ってくれる

いつの間にかできたこの 距離を
どうしたら埋められるだろうって

泣きながら 考えていたんだ
冬の窓辺に 灯る明かりに寄り添って

君にもらった手編みのマフラー
イニシャルが入ってるけど

NとSが 逆だって言えなかった
だってそんなの問題じゃないから

人を愛する喜びと 難しさの間で
四苦八苦する僕を君が見ている

たくさんの約束と それと同じだけの裏切りを 君は知ってる
僕は不器用だから迷いなく 君を愛せない

誰かが 口ずさむ メリークリスマス
僕は素敵な言葉を探してる

このまま夜が明けないでもいい
二人だけの世界で一途な愛を貫こう

君にもらった手編みのマフラー
長すぎて どれだけ巻けばいいの

あちこちほつれてるけどちゃんと
あたたかいから許してあげる

包丁握らせれば 必ずといっていいほど
怪我をする君は 危なっかしいから

君はとりあえず お皿を洗ってよ
お互いに 見合った役目があるはずだ

ほら 君にもいいところがあるよ
具体的には言えないけれど

いつか 教えてあげるねって
帰り道の途中で はぐらかした

いつの間にかできたこの 距離を
どうしたら埋められるだろうって

泣きながら 考えていたんだ
冬の窓辺に 灯る明かりに寄り添って

君にもらった手編みのマフラー
イニシャルが入ってるけど

NとSが 逆だって言えなかった
だってそんなの問題じゃないから

マフラーを編んでくれたことが
何よりうれしかったから

絆創膏だらけの君の手がとても
愛しくてたまらなかったから。

2016/09/24 (Sat)
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