詩人:どるとる
離ればなれの二人をつないでるのは
月に数度の手紙のやりとりだけ
メールが嫌いな君は手紙が届くのを心待にしていたよ
贅沢して たまに電話をした日には
僅かな時間の中に 永遠を感じた
もうどれくらいの 手紙をやりとりしただろう
いつも同じことを書いてる 気がしてるよ
会いたいって 気持ちばかりが先行して
君の迷いに 気づけない僕がいた
季節は 移り変わって
もうしばらくしたら 薄着じゃ いられなくなるね
この街に白い 綿帽子が 降ってきて
冬を 届けた 何でもないいつもの街が
二人で並んで歩くときれいに見えた
冗談を言い合いながら寒さをごまかした
今悩んでること
迷ってること 何でも話してよ
小雨降る ホームにたたずんで いつまでも 帰れない僕らは
別れの日、離れてく手を 何度もためらった
窓越し 遠くなる君を見送ったあと
一人泣いたことを覚えてる
これでもう 会えない気がして
さっきまでつないでた手がまだあたたかい
君も ついに観念して携帯を 持った日
君は電話に出たとたん しどろもどろになってた
そのしぐさが目に浮かぶようでおかしくて 僕は笑った
でも君は 嬉しそうだった
僕らは時間を忘れいつまでも話した
君と重ねた手紙のやりとりも その日を境に終わった
でも、君がくれた手紙をまだ 残してる
これは僕の宝物だと大切にしまってる
今じゃ 僕より携帯の使い方がうまい君だけど
また君のあの 下手くそな字を 見たいな
思ったことがつい口に出たら
君に叱られたよ
君も まだ持ってるかな 僕が 送った手紙
二人が まだ恋人だった頃の思い出。