詩人:どるとる
この胸にくすぶっている思いはなんだ
煙草の火が 湿ってなかなか点かないぞ
見上げた夜空に 飛行機を見つけたよ
どこに行くのかな あの銀色の翼は
駅前にあふれた人波をかけ分けて
火照った体を 引きずってく
いつまでも明日を知らないままでいたい
悲しみも喜びも必要以上はいらないよ
いくら逃げても ついてくる時間
難なく明けてしまう夜に 怯えていた
悩ましく 煙るため息が 風にかき消えた
駅を いくつか過ぎたあたりで降りた
名前も知らない街のぬくもりにふれた
夜を待つばかりの 僕は うわのそらで
猫のように丸くなって暗闇にかくれた
人混みに酔ってしまいそうで
ビルの影で 日が暮れるのを待った
待てど暮らせど来ない 幸せになんて
期待なんてしない 手を振ってさよならさ
重ねた唇乾いてささくれて痛い
このまま時間が止まって欲しいと思った
せめて明日を平穏無事に過ごせるように
夕暮れの街 迫る夕闇 走る誰かの後ろ姿
影が 長く伸びて 隣に並ぶあなたを 追い越した
握った手が 熱くなる 幸せと迷いなく思った
いつまでも明日を知らないままでいたい
悲しみも喜びも必要以上はいらないよ
いくら逃げても ついてくる時間
難なく明けてしまう夜に 怯えていた
悩ましく 煙るため息が 風にかき消えた。