詩人:どるとる
日の落ちた街並みは言葉もなく たたずみ
暮れる空は やがて夕闇に のみ込まれ
こうして ただ過ぎるだけの毎日
取り立てて 言うこともない
雨に降られた 今日
陽射しにやかれた 昨日
まだ見ない 明日
暗闇に向かって歩いていくような
言い知れない不安と向かい合ってる
嘘みたいに笑って嘘みたいに泣いて
笑ったぶんだけ落ち込んで
泣いたぶんだけ強くなって
そうして過ぎてく毎日が
たとえば何かを 僕にくれるなら
僕は一体何を手にしたんだろう
そしていつの間にか何かをなくした
でも何をなくしたのか それさえ わからないまま
僕は 誰にも知られず消えるのさ
椅子に座って そこから眺める眺めを
同じ視点で 見てるだけの リアリティー
死んでるのとたいして変わらないな
胸を突き刺す痛みは名前がないから呼べない
工場の 窓に 蜘蛛の巣が 張り付いて蝶が 絡んで 苦しそうでも
「他人」という理由で 見放す 大衆
嘘みたいに 生まれて
嘘みたいに 生きて
くたばるのも まるで 唐突だ
透明人間なら 心もいらないのに
積み重ねるだけの 毎日が
退屈と 悲壮を 連れてきて
逆剥けた 唇を風がなぶれば
振り返る 瞳に 焼け落ちた 夕日
空を 火山灰が 覆いつくして
〇月〇日 僕は 絶望に ころされた
嘘みたいに笑って嘘みたいに泣いて
笑ったぶんだけ落ち込んで
泣いたぶんだけ強くなって
そうして過ぎてく毎日が
たとえば何かを 僕にくれるなら
僕は一体何を手にしたんだろう
そしていつの間にか何かをなくした
でも何をなくしたのか それさえ わからないまま
僕は 誰にも知られず消えるのさ。