詩人:ちこ
はかなく散りゆく花たちは
静かな旅に出る
誰かに行き先を伝えることもなく
ただ空を舞い 川を流れる
行き着いたその場所
その異国の果てで彼らが見たものは
太陽だった
かんかんと降り注ぐ光だった
まぶしかった
そしてなぜか悲しかった
もう小さな場所に留まるのはやめにしよう
彼らはそう思った
もっと前向きな気持ちをもとう
そう決めた
下に散ることばかりだった花たち
下には何もなかった
ただ真っ黒な地面が広がるだけだった
上は見なかった 見えなかった
この空の青さを知らなかった
幸せをくれるこの光を知らなかった
それから花たちは
はかなくなんて散らなくなった
それは優雅で美しく舞い散った
そしてそれぞれが旅に出る
まだ見ぬ光に向かって