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詩人:チェシャ猫
小さい頃から目立つ存在じゃなかったし
みんなに頼られる人柄でもなかった
クラスの中心にもなれなかったし
人を笑わせることも上手くできなかった・・・。。
でも本当はヒーローになりたかったんだ
いつもテレビで見ていた彼らのように
突き上げたその腕は
少し頼りないかもしれないけれど
どこかで涙している誰かを
この両手で包めるように
気付いた頃にはもう
君の手は他の誰かが握ってて
差し出すその左手には
僕があげた空き缶のフタの変わりに
銀の指輪が眠ってた
でも本当は勇者になりたかったんだ
お姫様がさらわれたとき
危険をかえりみずに走り出す
彼らのように
君と一緒に新聞紙丸めて作ったおもちゃの剣は
君から目を逸らした僕の両手から逃げ出して
泣きながら手探りする僕には
もう見つけられなかったけど・・・。。
だからずっと君を見続けるよ
この両手で君を守ることはできないけれど
せめて君が泣きだしそうになった時には
君が見つけた勇者にそのこと伝えるよ
・・・君を守ってくれと・・・涙をこらえて
僕は勇者にはなれなかったから・・・。。