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[14815] 君にとってたった一人の勇者に

詩人:チェシャ猫

小さい頃から目立つ存在じゃなかったし
みんなに頼られる人柄でもなかった
クラスの中心にもなれなかったし
人を笑わせることも上手くできなかった・・・。。

でも本当はヒーローになりたかったんだ
いつもテレビで見ていた彼らのように
突き上げたその腕は
少し頼りないかもしれないけれど
どこかで涙している誰かを
この両手で包めるように


気付いた頃にはもう
君の手は他の誰かが握ってて
差し出すその左手には
僕があげた空き缶のフタの変わりに
銀の指輪が眠ってた

でも本当は勇者になりたかったんだ
お姫様がさらわれたとき
危険をかえりみずに走り出す
彼らのように


君と一緒に新聞紙丸めて作ったおもちゃの剣は
君から目を逸らした僕の両手から逃げ出して
泣きながら手探りする僕には
もう見つけられなかったけど・・・。。

だからずっと君を見続けるよ
この両手で君を守ることはできないけれど
せめて君が泣きだしそうになった時には
君が見つけた勇者にそのこと伝えるよ
・・・君を守ってくれと・・・涙をこらえて


僕は勇者にはなれなかったから・・・。。

2004/07/14 (Wed)
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