詩人:望月 ゆき
上弦の月の輪郭が
曖昧に ぼやけていたので
夜空に向かって ぽつりと
愚痴をこぼしてしまった
月は いやな顔もせず
じっとそれを聞いていた
しかし
常に 横顔だったし
たまに雲で顔を隠したりもしたので
本当のところは わからない
上弦の月の輪郭が
曖昧に ぼやけてなかったら
愚痴もこぼさなかったか
と いうと
それは 不可思議
すべてを
何かのせいにして
軽くなりたいときって ある
そうしないと
前にすすめないときって
今は 求めてもムダ
あの娘より たくさんの
愛をあげても
あの娘より たくさんの
幸せは くれないのね