詩人:どるとる
なくしてしまったものは
もう二度と戻らない
名前さえない花の香りを
まだ忘れられずに
見えないものを 求めてゆくのなら
感情にさえ 形があるのなら
僕は ふれてみたいよ 見えないはずのものたちに
あなたを 指先で確かめる
それがたとえば見えないものなら
ふれているつもりで心に映せばいい
線がかたどる道をたどって
たどり着く先を 知らない
風の動き 少しの感情の揺らぎ
ささいな こと
窓の向こうに 太陽
光と影がダンスをしてる
温度を持った幻
今ならなんにでもなれる
つぎはぎだらけの 愛で 抱きしめてよ
名前なんて つけないでいいから
夜が明けたら おはようを ください
変わらない 営みの上に 夜が 降りてきて
時間の掟で 命あるものは いずれ
その命を なくしてしまうと
君は知っていたの?
それでも 歩いていくの?
夜を 越えて その先の物語に 会いに行くの?
あなたを 指先で確かめる
それがたとえば見えないものなら
ふれているつもりで心に映せばいい
見えないものも ただ見えないだけで
ここにあるって誰かが 笑うから。