詩人:さみだれ
あの頃僕は泣き虫だったな
背も小さくてケンカも弱くて
一人で歩く帰り道がさみしくて
あの時君はどんな顔してただろう
隣同士の席は嫌じゃなかったかな
僕はヒーローみたいに
誰かを守って
君を守って
それができるほどの勇気はなかったんだ
あの頃の空は飛行機雲が
長くのびるほど広くて
首が痛くなるまで眺めて
あの日の君はどんな気持ちで
飛行機雲の先にいたんだろう
暗い教室の中に
笑い合う声
僕は眺めて
「いつか好きだと言う」くらいの勇気しかなかったんだ
あの頃の僕は泣き虫だったな
背も小さくて優しくもできなくて
それでも君は笑ってくれて
それが嬉しくって
君を守れるくらいに強くなろうと決めたんだ
飛行機雲が空を切って
遠く遠くへのびていく
首が痛くなるくらい見ていたのは
涙を堪えるためなんだろう