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[16622] あさま山

詩人:evans

むかし見た思い出の山

むかし上野駅から
母と妹と3人で乗った
しなの路へ向かう

懐かしの特急列車
「あさま」

暑い夏の日

おばあちゃんの顔を
思い浮かべながら
藤村ゆかりの城下町への
想いを馳せて
鉄道唱歌のチャイムを
聴きながら旅立つ

釜めしを味わいながら
碓氷峠を越える

僅かな停車時間に感じる
海抜1000mのさわやかな風

進行方向 車窓右手に見える
雄大な山は いつもぼくらを
温かく迎えてくれた

母が9回も登った山

幼少のころ母に連れられ
出かけた鬼押し出し

おばあちゃんと手をつなぎ
「夕焼け小焼け」を歌い
歩いた信濃のあぜ道

いつも近くに
あの山はそびえていた

93年を生き抜いた
あなたは

いまは病床で意識も僅か

昨夜 
あなたを見守りつづけた

あの山は

ぼくらとともに
悲しみの涙をながした

それは

信州小諸の城下町に
生きるおばあちゃんの
苦痛の叫びか

長年健気に生きた
おばあちゃんへの
励ましなのか

祖母との思い出の山

あさま山

あなたの言葉を
思い出す

「この山が噴火する年は
良くないことがあるんだよ」と

おばあちゃん
早く快復して・・・

もう一度
ぼくと話をして・・・

2004/09/02 (Thu)
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