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[192862] 長いキス

詩人:どるとる


かじかんだ手 寒さのせいで動かない
終電間近の夜 遠くで鳴る踏切の音

宛もないまま ただ同じ場所をぐるぐると 行き交うばかりの日々

言葉に出すには まだ恥ずかしい思いだ
だけど いつかは言葉にしなければいけない思いだ

長いこと仕舞ってた思いをポケットから出した
打ち明けてからしばらくの沈黙のあと
君は静かに口を開いて 泣きながら待ってたよと 顔をほころばせながら
二人は寒空の下で長いキスをした

ささくれた唇が 寒さを物語ってる
買ったばかりの 煙草に火をつける

君は今何をしているんだろう
手を離しても逃げやしないのに 心配になる

二人を阻むのは 忙しさくらいだけど
それがあるせいで会えない 日々が続いてる

その寂しさごと 愛せたならいいな
電話の向こうにいる君に 声のトーンで
落ち込んでたりすると 見透かされて
思わず 泣いてしまった 長い長い 電話のあとの ため息は
むしろ僕が立ち直ったあかしなんだよ

今君は悲しいのかなうれしいのかな
どんな気持ちなのか当てて見せようか

会えない寂しさは むしろ ありがたかったりするんだよ

その寂しさが くれる時間は 僕に 大切なものを教えてくれるから

長いこと仕舞ってた思いをポケットから出した
打ち明けてからしばらくの沈黙のあと
君は静かに口を開いて 泣きながら待ってたよと 顔をほころばせながら
二人は寒空の下で長いキスをした。

2016/11/06 (Sun)
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