詩人:千波 一也
くじらはどこかと
島が問う
空をよこぎる鳥の背中も
きっとだれかは
島と呼ぶから
雨は
もうじき
降るだろう
あまつぶは
ふね
乗るも乗らぬも
うたのいのちの
さだめさながら
あまつぶは
ふね
やがて
雨は帰りのみちを
あまりにしずかに
なくすだろう
ほんとはなくしていなくても
それはおおきな無言となろう
友を知るか
あるいは
幾億の
くじらはどこかと
島を問う
かつての人に
うといばかりに
勝手なかつての向こうみず
雨は
もうじき降るだろう
孤独のために
あるいは
あまく
海のかぎりに
恵むだろう