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詩人:どるとる
大切なものは引き出しにしまってある
海で拾った貝殻 変わった形の石ころ
何の価値もないと大人は笑うけれど
値段のあるものばかりが全てではないでしょう
子供の頃は確かに持っていた
気持ちも 大人になったら忘れてしまうのかな
季節の階段をいくつか のぼって
もしも 大人になったなら
しまった引き出しをそっと開けてみる
そのなかにはきっと
かけがえのない思い出があるはず
引き出しは 小さな時間(とき)の方舟
来た道をたどれば あの頃に続いている
駄菓子屋の角に あった空き地を
段ボールでこさえた秘密基地
いくらお金を出しても買えない 思い出が胸の中に 宝石のように 輝いている
時間に追われ 無駄に急かされて
笑うことさえ 忘れたら きっと夢見る暇もない
白髪の生えた 髪を見て気づくとき
もう 若くはないと気づくだろう
だから若さは 宝物なんでしょう
いつか君がくれた 思い出を
道を引き返すように思い出すから
遠いあの日に 心は旅に出る
皆、なくしたものを 取り戻す時の旅人
ゆとりを 持つことを忘れていませんか?
そんなときはどうぞ立ち止まって
周りを見渡してみることです
きっと 何かを見つけるでしょう
与えられた目と耳で花や風にふれてみてください
季節の階段をいくつか のぼって
もしも 大人になったなら
しまった引き出しをそっと開けてみる
そのなかにはきっと
かけがえのない思い出があるはず
引き出しは 小さな時間(とき)の方舟
来た道をたどれば あの頃に続いている。