詩人:千波 一也
理由はありません、っていう理由について
もう少しやさしくあれたら、
と思うんだ
さびしい時刻が生え出したのは
ぼくの、背骨を笑う
星のした
だれにも
飼い慣らせるはずのない
さかな、が破片、を
みとめた日
ごくごく普通に飲み込む海は
空からすると
真昼の戯れ
かくれんぼ、だね
知らない、ふりも
手慣れたふり、も
あまりに無防備な誘惑のようで
つつまれている
かこわれている
ねむりに
つい、ている
特別な歌たちは
いつか鳥へと帰るんだった、ね
きらきらとした
描ききれない言葉のように
燃えるんだった、ね
朝を迎えることから始まってゆくかなしみ
それがつまりはあらゆる種、と知っているなら
帰されていこう、時計のなかへ
偶然の横顔に
つまずきながらでいい、
だれもがそこだ、
と思うんだ