詩人:中村真生子
温かく穏やかだった昨日の夕方。バスを待ちながら空を見上げるとビルとビルの間に急ぎ足で旅する雲たち。夜になって風が強まり一夜明けて今もゴーゴーと吹き荒れている。こんな風の中を雲たちはどんな勢いで旅しているのだろうと思ってカーテンを開けると否、どっしり腰を据えていた。まるでお茶でも飲みながら静かに見下ろしているように。木々は揺れに揺れ川さえも海のように波立っているというのに。