詩人:どるとる
春の終わりを告げる雨が
誰かの旅立ちのように 遠ざかる
傘を開いて 受け流した涙は
いつか 大人になって 消えない傷痕になる
簡単に 忘れたふりをするな
いつまでも 色褪せない思い出は
君を 君のままでいさせてくれる
ポケットには 入りきれない 宝物
置き去りにしていくのなら
そのときに 流れた涙も 浮かべた笑顔も
消えないように 記憶に焼きつけて
映画のラストを飾るエンドロール
時間に押し流される だけの 運命なら
風に 聞くさ 明日の行方を
見えないものも ちゃんとここにある
何度でも 交わした手を 忘れないように
大切だと 叫ぶ あの空に
凍えたような 指先がなぞる 冬
言葉を 失う前に 聞かせてよ
嘘偽りのない 君の本当の心の声を
その声だけが 道しるべになる
始まりは 終わりのあとのつまり雨上がりの虹
ポケットには 入りきれない 宝物
置き去りにしていくのなら
そのときに 流れた涙も 浮かべた笑顔も
消えないように 記憶に焼きつけて
なんでもないよと微笑んで。