詩人:どるとる
舗装された道積もる雪の上に上手に足跡を つけていく
互い違いの僕らの 歩幅は 狭くなったり広くなったりする
僕の街には 例年より少し早い雪が 観測されたらしい
首を温めるためのマフラーがいるな
君の下手くそな手編みのマフラーの出番だ
ふざけあって じゃれあっているだけで
毎日は 面白いように過ぎてく
一枚また一枚とカレンダーはめくれて
もうこんな季節かと驚かされる
窓の向こう 白く積もる雪と揺れる明かり
つい言葉を忘れてしまいそうになる
つないだ手の温もりはほどけない約束を
結んで すぐに消える足跡を見て儚んだ
言葉を 選びながらしりとりのように 続けていく
君と僕とで交わす会話のキャッチボール は途切れ途切れ
気の利いた言葉を 言えたらいいのに
余計な言葉でつい君を 傷つけてしまう
背中あわせの夜は長く 君をより近くに感じた
あの日の涙 今も僕の胸の中に 忘れ物のように残ってる
過剰なくらいに 輝いている にぎわう街のざわめき
人混みに酔いながら帰り着く家路
ただそばにいるだけでいい そんな気持ち いつまでも 変わらぬようにと 思った
幸せは きっと気づかないくらい
ささやかだから 大事に思えるんだよ
君の言葉が 固くかじかんだ僕の胸の雪を 静かに溶かしてく
窓の向こう 白く積もる雪と揺れる明かり
つい言葉を忘れてしまいそうになる
つないだ手の温もりはほどけない約束を
結んで すぐに消える足跡を見て儚んだ
その時の痛みを 絶え間ない優しさに変えて。