詩人:千波 一也
使い古した姿については ぼろぼろだね、と 同意をしよう けれど わたしたちが 聞き取れる言葉は そこまでだ 知らされていないほんとうを 伝えるすべもなく ひた走るような 沈黙を ときどき見かける 埃まみれに 飼い猫まがいの手足なら なにをきれいに 傷つける 捨てられた そう遠くはない行き先を つとめてしずかに 履きながら ふるえる 風の おもいに