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詩人:どるとる
アンハッピーエンドばかり書く小説家が最初で最後のハッピーエンドを書いた
その小説の主人公は死を望んでいた
だから物語の最後に夢は叶い主人公は希望通り死ねたのさ
主人公自体が死を望んでいたんだ
それが叶ったんだ
これ以上のハッピーエンドはないさ
確かに死んだことは悲しいことだ
だけれど主人公はそれを望んだんだ
生きてなくても主人公は物語の最後に幸せになる主人公のように幸せな気持ちで死んだんだ
これ以上のハッピーエンドはない
だけれど他人の僕にはどうしてもアンハッピーなハッピーエンドに思えてしまう
主人公は光を捨てて
闇に溶けて消えた
それがはたしてハッピーエンドなのかと思えてしまって
僕は悲しくなった
小説家に
主人公に
おなじだけの悲哀を感じた。