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詩人:チェシャ猫
すっかり見慣れたあの日の帰り道に
今一つずつ街灯がともって
気付けばまた頬を伝う涙にも
夕焼けの色が映ってる
君と会うのも久しぶりだね
微笑って僕を見つめるその瞳には
あのころの二人が並んで揺れている
だからほら
夜が夕焼けを包むほんの少しの間
あの日の君と手をつないで歩いて
見上げた空にはきっと
君色の星が泣いている
小指の糸が切れたあの日から
気持ちだけ置き去りにして
たくさんの季節を追い越してきたけれど
ずっと止まっていた時計は
今やっと動き始めたみたいだ・・・。。
だから今
花火が君の横顔を照らし出すほんの少しの間
気付かれないようにそっと
あの日途切れた小指の糸結びなおして
無邪気に微笑む君のこと
ただただ見ていたいって思うんだ・・・。。
ずっと消えない線香花火なんてないけれど
それでも僕たちは
差し出す右手を花火にかざす
夜風に吹かれて消えないようにと
照らし出された横顔
夜に隠れてしまわないようにと・・・。。