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詩人:右色
『 その傲慢は嫌いじゃないけど
それは愛と呼べる程、物語ではないわ 』
理由を聞きたくて
口を開く前に
彼女は微笑み
僕は停止する
きっとあの微笑にやられたのだと思う
勝ち誇っているようでいて
どこか優しく、決して不快にならない
あの微笑に
YESかNO
そんな単純さを彼女に期待したのが
間違いだったのかもしれない
それに
不思議と後悔も不安も無い
たぶんそれは
余りにも揺ぎ無い
彼女の物語に
僕が巻きこまれてしまったからなのだろう
単純な僕は不安も恐怖も無かったけれど
唯一残った小さな悔しさを手に
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