詩人:千波 一也
透明の底にあるものを
探せてはいない、ということを
探しているのだとおもう
それゆえわたしたちは
疑問の形をよそおいながらも
空に吹かれる日々を
なぞるのだろう
丁寧に、
さまよいながら
怯えるのだろう
けがれることを知らない途中で
いつしか覚えた閉じ方は
瞳をすぐに溢れてしまう
いつも、
そうして
たやすく呼んでしまうそれらを
拾い尽くせずに
奪われたままかも知れない
わたしたちは、
永遠に
乾いてゆくから
乾いてゆけるから
ときどき意味を逆さまにして
もとめられ
待ちわびるような
やさしさかも知れない、
永遠は
染みこむほどに
おそれ、わすれて、
消せないような
透明の底にはないものに
届いてしまう、その距離を
ちいさなひかりが過ぎてゆく
この声は
どこにも届いていかないだろう
ときどきそれを解放として
おだやかにおろそかに
しあわせを沈み、
すべての祈りは
底に在る