詩人:千波 一也
ふたつの手のひらを
使いこなせない昼下がり
耳を澄ませてわたしは
しずかに風を
遮断する
すべては
それとなく遠い気がして
けれども確証はなくて
言えずに続いた
願いごと
そっと
拒み通してきたあれこれが
わたしの向こうで
陽を浴びている
翼はいつも
やさしく落ちていて
羽ばたくものを
聴いていた
嘘かもしれない瞳のなかに
いくつも窓を磨かせて
待つ身をいつしか
とまどいながら
ふるえる歌に
消えないように
野原にかくれた幼さを
差し出すように
花の咲くとき
わたしはひみつの
教え子になる
透けるばかりの手紙の文字に
そっと涙を温めながら
ひとつの意味を
手がかりに
して