詩人:千波 一也
ひとり暮らしのテーブルに
しばらくぶりに野菜がいます
使い古された
タッパのいろと
サランラップのしわくちゃ加減
レンジひとつで済まされる手軽さは
とってもチープで笑えてしまう
それでいて、疲れたからだに
心底やさしい
ちゃんと食べてるのかい、だとか
からだをこわすんじゃないよ、だとか
どこにも売っていない言葉とこころとを
今夜、あらためて
いただきます
ありがとう、だなんて
けっして素直に言えやしないから
まだまだ心配していてください
育ち盛りのばかものを
ほどよい距離で
ずっと、元気で
満ち足りたふり
なに食わぬふり
弱くはないふり
それら、ごまかし全てを聞くように
今夜のご飯はあたたかいから
あしたもきっと頑張ります
あなたの子どもは元気です、
はい
わかる、ということは
ときどきとてもむずかしいのに
しばしばたやすくたずねます
あなたに生まれてよかった、と
とおく離れた食卓で