詩人:Bob
何が嬉しいわけでもなく
何に憤るわけでもなく
何が苦しいわけでもなく
何を妬むわけでもなく
何かを感じるわけではない
ただただ限りなく
涙が湧き出
ただただ理由もなく
涙が溢れ
ただただとめどなく
涙が零れ
頬を伝い落ちる涙よ
この渇いた身体に染み込んで
空虚な心を悲しみで
満たして下さい
ただ悲しみに浸れるのなら
他に何も知らなくてすむ
全てを投げ出させる
喜びという麻薬も
この身を修羅に変えてしまう
怒りという兵器も
美醜の判断もさせてくれない
嫉妬という鎖も
心さえ引き裂いてしまう
苦難という腫瘍も
悲しみは全てを飲み込んで
己の自我を留めてくれる
私は私でいられるの
だから流れ落ちて、涙よ
だから止まらないで、涙よ
涙で満たされなくなったら
この空虚な心は
何が満たすと言うのですか?