詩人:千波 一也
こみあげる、面影に
迷子にならずにすむように
素足をそっと
しのばせる
そこはことばの
向こう側としてのことば、
のような
汲みあげられたものにだけ
いたみのきらめく
癒しの水辺
とても
おそろしいことが
やさしく呼ばれる、いつか
裏切らないところから
逃げてしまった、
みずからの
疑問
いさり火を消すものが
もうじきここから見えるだろう
祈りのひとつとしての
黎明に
克明として
ならわし、として
こみあげる、楽章は
さまよえる舟
いくつもの
軽重の
めぐりあう掟、はなくて
素顔のままに
かよい合うゆるし、
のように
真実が、みな
はかりかねられている