詩人:千波 一也
微笑みがこぼれると
それをよろこぶ
ひとがいます
わたしにはのぞけない手紙が
おそらくそこで広がるのでしょう
愚痴をこぼすときも、
そう
溜め息は
誰かのなかで
読めない文字へとかわります
乾ききらない気配となって
わたしを知らない
手紙、のように
汗や涙を飲み込んで
ことばか、こころか、
どちらとも言えそうな手触りに
わたしは濡れて
長らく雨天を
過ちました
一枚の切手として
出来うることは
何でしょう
確かなことは
運ばれ続ける日々のなか、
ときどきわたしも
運べることです
遠く、
おぼろな背中さながらに
頼りきれない温もりが
わたしの胸に
届くとき
愛、を呼んでもいいですか
ささやかながら
誇りをもって