詩人:どるとる
まばたきしているまに景色が移り変わる
移ろう季節のように
まばたき数回で鏡の中の僕も目の前のきみも大人になる
それはまるで何かのドラマのように劇的に
素晴らしい 未来なんて見たくなきゃ見なくていいさ
まばたき数回しただけで期待が絶望に変わるなら
心の中で逆さまにしよう
流れ落ちる砂時計の時間の砂粒のひとつひとつを今 逆さにしてまた新しい今日を始めるのだ
わけもなく涙がまばたきひとつで笑顔に変わる それもまた真実
だけれどまたまばたきしたら 泣き顔になる
そんな不思議抱きしめ 振り返れば短く思えば長く 時間はいつでもまばたきするように通り過ぎればとてもはかないもの
時の流れの切なさ
それをいちばんに影響を受けている僕らは少しずつ花開いてやがて萎れる
その過程を人生という時間の中で実証する
まばたき数回で
僕は悲しくて
まばたき数回でまた
僕はうれしくて
言葉にもならなくて
ただ涙や笑顔が言葉にならない部分を助けるのさ
今はまだ死なない
その事実だけで
僕は悲しいし
そしてうれしい
そんな僕は僕自身でも不思議というしかないくらい不思議だ。